ポータブル電源の容量は、災害時の対策において非常に重要です。
大規模災害時には停電が発生することが多く、停電の際必要な電力を確保するためには、適切な容量のポータブル電源が不可欠です。

このページは、防災士としてを10年以上被災地に入り続けた経験から、ポータブル電源についての記事を書いています。
被災時のポータブルバッテリー運用は、重さと容量がキモ
このページでは、災害対策において適切なポータブル電源の容量と重量について詳しく解説します。
災害時に必要なポータブル電源の容量
ポータブル電源の被災時に必要な容量はどういう感じで考えれば良いのでしょう?
家電製品の電力消費を考慮する
災害時には、冷蔵庫、照明、通信機器(携帯電話、ラジオ)、医療機器など、基本的な家電製品の電力消費を考慮する必要があります。これらの機器の電力消費量を把握することで、必要なポータブル電源の容量を計算することができます。

すべてポータブル電源で賄うと、かなり容量が増えてしまうので、被災時に最低限必要な容量を考えてみましょう。
適切な容量の選定
使用時間を見積もる
災害時には、電力供給が復旧するまでの時間を見積もり、それに応じた電源容量を選定する必要があります。

例えば3日間の停電を想定して計算する場合、各機器の1日の電力消費量に3を掛け合わせた容量を確保します。
これらは一例ですが、これらを合計すると、約10.6 kWhの容量が必要になります。
冷蔵庫の消費電力を減らせばかなり余裕が出るかも。
ちなみに、ポータブル冷蔵庫の場合は消費電力が直冷式が562Wh程度だったりするので、普通の冷蔵庫ほどは電気を食いません。
※これだけの容量を確保すると、お金もかかりますし、一般的な家庭では重量の問題も出てきます。
※大規模災害の際、3日で停電が解消するとは限りません。
※長期間の停電に備えて、JackerySolar Generatorなど、ソーラーパネルとセットで運用するのもお勧めです。

災害対応を考えるなら、最低限冷やさなければいけないのものをポータブル冷蔵庫に入れて対応するなどの工夫も考えましょう。
バッテリーの種類と特性
鉛蓄電池
鉛蓄電池はコストが比較的低く、大容量の電力を提供できます。しかし、重量があり、持ち運びが難しいため、固定場所での使用に適しています。また、使用寿命がリチウムイオンバッテリーよりも短いです。
リチウムイオンバッテリー
リチウムイオンバッテリーは軽量で持ち運びが容易でありながら、高いエネルギー密度を持っています。長時間の電力供給が可能で、多くのポータブル電源で採用されています。ただし、コストが高めであることを考慮する必要があります。
リン酸鉄系バッテリー
最近では、より安全性が高く、寿命が長いといわれているリン酸鉄系バッテリーを使ったポータブル電源が増えてきています。
ジャクリPlusシリーズ・NEWシリーズ
は最新のリン酸鉄を使用。毎日使っても10年以上使える長寿命を実現しています。
半固体電池
曲げ耐性や高速充電、高出力に優れ、液漏れや発火のリスク低く、長寿命化を同等の電池容量で、より軽量な電池とも言われています。
まだ、それほどポータブル電源としては普及していません。
防災に適したポータブル電源の具体例
小型ポータブル電源
小型ポータブル電源は、比較的軽量で持ち運びやすいモデルで、容量は300Wh程度です。
スマートフォンやタブレット、LED照明の電力供給に適しています。短時間の停電や小規模な災害時には十分な性能を発揮します。
出力に制限があり、600W程度しかないものもあります。
この場合は、ドライヤーや電気ポットなどは使えなかったりします。

重量が軽いので、持ち運びは楽。
中型ポータブル電源
容量は500Wh~1,000Wh程度で、冷蔵庫や電気ポットなどの家電製品にも使用可能です。中規模な災害時にも対応でき、重量は10Kg程度なので、持ち運びも大型ポータブル電源と比較すると比較的容易です。

湯沸かしポットやドライヤーも使用可能なものが多いです。
ジャクリ1000Newは、かなり軽量かつコンパクトでお勧めです。

大型ポータブル電源
1,000Wh以上の容量を持ち、家庭用の電力供給にも対応できるモデルです。特に長期間の停電に備える場合や、多くの機器を同時に使用する場合に適しています。ただし、かなりポータブルというにはかなり重く、2,00Kwhで20キロ近い重量があったりします。
車輪が付いていて可搬性を持たせたものもありますが、被災地で車輪が使える場所に行くまで状況は何とも言えず、やはり重いです。
大型ポータブル電源は、その重さから避難所に持って行くよりも、在宅避難で対応できる地域や丈夫な家屋に住んでいる方にお勧めです。

地震の想定の場合、重量が凶器にもなりかねません。
設置場所の工夫が必要です。
ポータブル電源を普段から使う
使用方法の習得
災害時にスムーズに電源を使用するためには、事前に使い方を習得しておくことが重要です。普段から使っている方が、イザというときにスムーズに使えます。充電方法、接続方法、使用時間の計算などを日常的に確認し、緊急時に備えますしょう。

普段やっていない事を、究極の状況でやるのは困難です。
ポータブル電源の重さが引き起こす不都合
1. 移動性の制限 重いポータブル電源は、緊急時に迅速に持ち運ぶことが難しくなります。
例えば、水害や地震での避難時には、素早く行動する必要に迫られる可能性もありますが、重い電源はそれを妨げます。

高齢者や負傷者、力のない人々にとっては、重さが大きな負担となります。
2. 設置の困難 重い電源は設置場所の自由度を制限します。
軽いものなら高い場所に設置することで水害時の被害を避けることが推奨されますが、重い電源は設置作業が大変です。
また、バランスが悪い場所に設置すると、地震時に倒れて故障するリスクもあります。

3. 長時間の持ち運びによる疲労 避難場所までの距離が長い場合、重い電源を持ち運ぶことで体力の消耗が激しくなります。特に、他の避難物資も同時に運ぶ必要がある場合、総重量が増えるため、疲労はさらに大きくなります。
4. スペースの問題 重い電源は一般的に大きなサイズを伴うことが多く、避難場所や自宅の限られたスペースに設置する際に問題が発生します。狭い避難所では、スペースを有効に使うために重い電源の配置が難しくなります。

邪魔だからと押し入れの奥にしまってしまったりすると、被災時に使えない事もあり得ます。
コードなどの準備
普段使っているコンセントからポータブル電源まで届かない場合、新たな延長コードなどが必要になる場合があります。
ポータブル電源を使用する想定で必要なコード類を確認しておきましょう。
コードで繋ぐことが出来ないと、イチイチ抜き差したり、余計な手間がかかります。
不都合を軽減する方法
1. コンパクトかつ軽量なモデルの選択 市場には比較的軽量で持ち運びやすいポータブル電源も存在します。選択する際には、重さだけでなく、バッテリーの持続時間や充電方法も考慮しましょう。
2. バックアップシステムの利用 重い電源に頼るだけでなく、小型の予備電源やソーラーパネルなどのバックアップシステムを用意しておくと安心です。これにより、重い電源が使えない場合でも一定の電力を確保することができます。
3. 保管場所の工夫 電源を日常的に使うわけではない場合、避難経路に沿った場所に保管しておくと、緊急時にすぐに取り出すことができます。また、複数の軽量電源を分散して保管することで、個々の持ち運びが容易になります。
4. 使い方を事前に習得 緊急時にスムーズに使えるよう、日常的にポータブル電源の使い方を学んでおくことが重要です。電源の使い方や充電方法を熟知しておくことで、いざという時に焦らず対応できます。
5. 家族や近隣との協力体制 重い電源を一人で運ぶことが難しい場合、家族や近隣住民と協力することで負担を軽減できます。避難訓練の際に協力の方法を確認しておくと、実際の災害時にスムーズに連携できます。
長期間の停電対応はソーラーパネルをセットで
ポータブル電源の重量を10Kg程度とすると、おおよそ1,000Wh程度の容量が標準的になります。
これでは停電が長引けば、いずれ足りなくなります。
こうした場合の備えて大きめの太陽光パネルを設置するとか、ポタ電自体を2つ用意、もしくは拡張バッテリーを使えるタイプを選び、充電場所を確保するなどの工夫が必要になります。

充電場所の確保が望めない場合は、自給する必要があり天候の問題はありますが、ソーラーパネルとセットにした製品JackerySolar Generatorなどの太陽光パネルがお勧めです。

どこかで電気を貰えないか
東北大震災でボランティアに入った際は、道一つ隔てた場所に電気が通っている状況がいたるところで見られました。
そうした状況を想定すると、ポータブル電源に充電して家に帰り、そこで電気を使うなどという発想もアリかもしれません。
自分の家の比較的近所に知人や親せきなどの家がある場合、万一の際には、お互いに電気を融通しあえる話し合いなどをして置くのも良いでしょう。
頻繁にお邪魔するのも気になるなら、家の外のコンセントでポータブル電源に充電させてもらえれば、お互いに気を遣う事も減るかと思います。

事前の取り決めがあれば、スムーズに事を運べるかも。
最後に
大容量ポータブル電源は、その性能や容量を考慮すると、緊急時の電源確保に重要な役割を果たします。
ただし、ただし、大容量のポータブル電源の場合は、重量などの問題があるので、太陽光での充電や、予備電源の確保などの工夫をしておきましょう。
適切な準備と対策を講じることで、これらのデメリットを最小限に抑え、安全に活用することができます。
防災への関心を高め、具体的な対策を立てることで、災害対策を充実させていきましょう。
LED照明:LED電球は省エネ性能が高く、1つあたり約7~15ワット(W)の消費電力です。
通信機器:スマートフォンの充電には1回あたり約10ワット時(Wh)が必要です。
医療機器:使用する機器によりますが、持続的に電力を供給することが重要です。