非常用電源の選択:ガソリン式発電機 vs. バッテリー式非常用電源のメリットとデメリット
災害時に備える非常用電源は、日常生活を守るために非常に重要なアイテムです。特に大規模な停電が発生した場合、冷蔵庫、電子レンジ、照明、通信機器などを維持するためには、信頼できる電源が必要です。非常用電源にはいくつかの種類がありますが、特に注目されているのが「ガソリン式発電機」と「バッテリー式非常用電源」の2種類です。

ここでは、それぞれのメリットとデメリットを詳しく解説し、家族を守るために最適な選択肢を考えます。
1. ガソリン式発電機
ガソリン式発電機は、古くから災害時の非常用電源として利用されてきました。ガソリンを燃料にして電力を生み出すため、比較的高出力で安定した電力供給が可能です。

ガソリン式発電機のメリット
1. 高出力 ガソリン式発電機の最も大きな利点は、その高い出力能力です。冷蔵庫やエアコン、電子レンジなど、大型の家電製品や電動工具を動かすことが可能です。特に、停電が長期にわたる場合、家庭内の主要な電化製品を複数同時に使用できることが強みです。
また、連続使用が可能で、燃料を補充しさえすれば長時間にわたって電力を供給できます。
2. 即応性 ガソリン式発電機は、燃料が手元にあればすぐに使用可能です。停電や災害が発生してからでも、ガソリンを注入するだけで即座に電力を供給できます。この即応性は非常に重要で、電力供給が急に途絶えた際に迅速に対応できる点がメリットです。
ガソリン式発電機のデメリット
1. ガソリンの保管 ガソリンは揮発性が高く、長期間の保管が難しいです。特に、ガソリンは経時劣化し、使用できなくなるリスクがあります。さらに、ガソリンの保管は火災や爆発のリスクが伴うため、安全に保管するためのスペースや適切な設備が必要です。また、法律や地域の規制により、大量のガソリンを自宅で保管することが制限されることもあります。したがって、定期的に燃料を使用したり交換する手間が発生します。
2. 騒音と排気 ガソリン式発電機は作動中に大きな騒音を発生させるため、特に夜間や住宅密集地では騒音問題が懸念されます。さらに、発電機の排気ガスには有害な成分が含まれており、使用中は必ず屋外での運転が必要です。室内で使用すると、一酸化炭素中毒のリスクが高まるため、換気が確保できる場所でのみ使用することが必須です。
3. メンテナンスの必要性 ガソリン式発電機は、長期間使用しないとエンジンがかからなくなることがあるため、定期的なメンテナンスが必要です。エンジンオイルの交換や燃料フィルターの点検など、車両のエンジンと同様のメンテナンス作業が求められます。また、使用後は燃料を抜くなど、劣化防止の対策も必要です。
2. バッテリー式非常用電源
バッテリー式非常用電源は、近年注目されている新しい非常用電源の形です。ガソリンを必要とせず、電気を蓄えて使用するため、ガソリン式に比べて安全で取り扱いやすいとされています。

強烈な可燃物を使うより、充電するだけで使えるバッテリー式非常用電源がおすすめ。
バッテリー式非常用電源のメリット
1. 安全性
バッテリー式非常用電源は、ガソリンを使用しないため、火災や爆発のリスクがありません。ガソリン式発電機と違って、屋内での使用が可能で、室内でも安心して利用できます。また、燃料の劣化や保管場所に悩まされることもありません。小さなお子さんがいる家庭でも、バッテリー式なら比較的安全に使用できるのが大きなポイントです。
2. 静音性
ガソリン式発電機の騒音問題に比べ、バッテリー式非常用電源は非常に静かです。電力を供給している間、ほとんど音がしないため、夜間でも安心して使用できます。特に災害時に騒音が気になる場所では、バッテリー式の静音性が大きなメリットとなります。
3. 環境への影響が少ない
バッテリー式非常用電源は排気ガスを出さないため、環境に優しいです。また、再生可能エネルギーである太陽光を活用して充電できる製品も多く、長期的な環境保護にも貢献します。ガソリンを使用しないことで、環境負荷を大幅に減らすことが可能です。
バッテリー式非常用電源のデメリット
1. 充電の必要性
バッテリー式非常用電源の最大の欠点は、事前に充電しておかなければ使用できない点です。バッテリーがフル充電されていない場合、電力を供給することができません。また、長期にわたる停電が発生した場合、バッテリーが切れた後に再充電が必要です。ソーラーパネルなどを活用することも可能ですが、天候に左右されやすく、十分な電力を確保できない場合があります。定期的にバッテリーの充電状態を確認し、常にフル充電の状態を保つことが求められます。
2. 出力制限
バッテリー式非常用電源の出力には限界があります。ガソリン式発電機ほど高い出力を維持することが難しく、特に大型の家電や電化製品を長時間稼働させることは困難です。バッテリーの容量が尽きると、再充電が必要になるため、連続使用には適していません。
3. コスト
バッテリー式非常用電源は、初期投資が高い傾向にあります。特に、ソーラーパネルなどの充電設備を導入する場合、設置費用が追加で発生します。長期的に見ればガソリンの購入やメンテナンスコストがかからないため経済的かもしれませんが、初期費用がネックとなることがあります。
充電設備の重要性
バッテリー式非常用電源を効果的に利用するためには、充電設備が不可欠です。災害時に電力を確保するためには、平時からバッテリーの充電状態を確認し、充電してある状態に保つことが大切です。また、長期間停電が続いた場合に備えて、再充電が可能なソーラーパネルや車のシガーソケットを利用した充電設備を導入しておくと安心です。

この場合は、車から電気を取る事も可能です。
太陽光パネルの利用
太陽光発電による充電は、停電が長期化した際に役立つ方法です。天候に左右されやすいデメリットはありますが、昼間の時間帯に太陽光でバッテリーを充電できれば、夜間や翌日に再度電力を利用することが可能です。ソーラーパネルは比較的コンパクトなタイプもあるため、自宅の屋根やベランダなどに設置しておくと便利です。

日射角度や天候に左右され、なかなか思ったように充電できない事もありますが、備えておくと役に立つかもしれません。
ガソリン式発電機とバッテリー式非常用電源、どちらを選ぶべきか?
家族を守るためには、ガソリン式発電機とバッテリー式非常用電源の両方に一長一短があります。ガソリン式発電機は強力な電力供給が可能ですが、ガソリンの保管や使用時のリスクが伴います。一方、バッテリー式非常用電源は静かで安全ですが、出力が限られ、充電状態を常に保つ必要があります。
家族構成や居住環境、予算に応じて、最適な選択肢を検討することが重要です。例えば、小さなお子さんがいる家庭では、ガソリンの保管や発電機の騒音・排気が不安要素になるため、バッテリー式の方が安心かもしれません。また、定期的な停電や災害リスクが高い地域では、両方の電源を併用することで、長期的な電力供給が確保できる場合もあります。
災害時に家族の安全を守るためには、日頃からの準備が不可欠です。
まとめ
非常用電源の選択肢として、ガソリン式発電機とバッテリー式非常用電源にはそれぞれメリットとデメリットがあります。
ガソリン式発電機は、高出力で冷蔵庫やエアコンなどの大型家電を長時間動かせるのが強み。
しかし、ガソリンの保管にはリスクがあり、騒音や排気ガスも問題です。また、定期的なメンテナンスが必要です。
一方、バッテリー式非常用電源は、静かで安全、環境に優しい点が魅力ですが、出力が限られ、事前に充電しておく必要があります。
また、初期コストが高く、長期間の停電時には充電が課題となる場合があります。
家族構成や住環境に応じて、どちらが適しているかを検討し、必要に応じて併用も選択肢の一つです。